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新刊『ジェーンの物語 伝説のフェミニスト中絶サービス地下組織』ローラ・カブラン著 塚原久美訳
¥2,750
妊娠して困ってない? <ジェーン>に電話して! 中絶が違法だった半世紀前の米国シカゴ 女たちが女たちを助けようと立ち上がった違法の地下組織〈ジェーン〉。安全な人工妊娠中絶を求め駆け込んだ女性たちの数は推定1万1000人。激動の歴史を赤裸々に描いた衝撃的なノンフィクション。 私たちはごく平凡な女たちだった 1960年代末から、1973年に最初の合法的な中絶クリニックが開設されるまで米シカゴで活動した地下組織〈ジェーン〉。当初はカウンセリングと中絶施術者の紹介を行っていたが、自分たちで中絶方法の技術を学び、推定1万1000人の女性に安全な人工妊娠中絶を提供した。多くの人々を救うと同時に、女性の権利に関する社会的な議論を巻き起こした。 「願っていたのは、この歴史を読むすべての人が私たちの中に自分自身を見いだし、「私もこうしていたかもしれない」と思ってくれること」(本文より)
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新刊『トランスジェンダーQ&A 素朴な疑問が浮かんだら』高井ゆと里/周司あきら著
¥1,980
トランスジェンダーの人たちは生活上の困難を抱え、様々な不合理や社会からの排除に直面しています。また、SNSを中心にトランス差別・ヘイトが急速に拡大して、トランスジェンダーの人たちの生存を脅かしています。 様々な「議論」をする前に、トランスジェンダーの人たちの「生きる現実」を知ることがなにより必要です。 「なぜ性別が社会で重視されるのか?」「トランスジェンダーとは?」「性別を変えるために何が必要?」「トランスジェンダーの人たちが直面している困難は?」「トランス差別・ヘイトがなぜ跋扈しているのか?」――。 本書は、性別を重視するいまの社会のありようを押さえたうえで、トランスジェンダーをめぐる大きなクエスチョンを21個、そこから派生するクエスチョンを65個設けています。それらの基礎的な質問から性別分けスペースにまつわる疑問、「トランス差別はいけないけれど気になる」疑問まで、語りかける文体でわかりやすく答えています。 いまの社会がどうなっていて、そこでトランスジェンダーの人たちがどんな困りごとを経験していて、それを解決するには何が必要なのか――Q&A形式でそれらを具体的に知ることができる一冊です。
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◆読書会本付きチケット『母にはなれないかもしれない』
¥2,300
5月26日(日)にkaninで行う読書会 『母にはなれないかもしれない 産まない女のシスターフッド』の本付きチケットです。 ※本のみのご購入の場合は別に商品ページがございますのでご注意ください。 <読書会詳細> 日時 5月26日(日) 17時〜 参加費 読書会参加のみ 1000円(1ドリンク付) 本付きチケット 2300円(1ドリンク付) 課題本 『母にはなれないかもしれない 産まない女のシスターフッド』若林理央著(旬報社) ※要申込
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新刊『花と夢』ツェリン・ヤンキー著 星泉訳
¥2,640
ラサのナイトクラブで働きながら場末のアパートで身を寄せ合って暮らす四人の女性たちの共同生活と、やがて訪れる悲痛な運命……。家父長制やミソジニー、搾取、農村の困窮などの犠牲となり、傷を抱えながら生きる女性たちの姿を慈愛に満ちた筆致で描き出す。チベット発、シスターフッドの物語。英国PEN翻訳賞受賞作。
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新本『詩集 女たちへ Dear Women』中村純著
¥1,100
京都市在住の詩人、中村純さんが2017年に刊行。女性をテーマにした詩集。 Kaninで閲覧用としておいていたところ、どうしても欲しいという方がいらっしゃった作品です。母から子へ、娘から母へ、女から女へなど美しい言葉で紡がれたたくさんの詩が収められています。 告白するのも恥ずかしいのですが、店主S、子を産むまでは「はー世の中どうでもいいわ。自分が死んだら終わりやし」というシニカルかつ退嬰的で厭世的な考えでした。が、子をもってみて一変。自分の子だけでなく、すべての子どもたちがおなかいっぱい食べて幸せに暮らしてほしい、そのためには世の中をよりよくしないと、と思うようになったのです。悲しいほど陳腐でクリシェ、しかしこれが偽らざる気持ち……。 そんなわけでこちらの詩集でも、最初の2篇がぐっと胸に迫ってきました。そしてもちろん、友によびかける詩も素敵です!
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新刊『料理と人生』マリーズ・コンデ 著
¥4,180
SOLD OUT
女中たちから料理を教わる台所が隠れ家だった娘時代、 4人の子育てに追われる日々、ギニア、ガーナ、セネガルで出会ったアフリカの味、 作家として名を成し、世界中を飛び回る日々に知った東京のヤキトリ、マグレブのタジン鍋。 料理なんて召使いのすること──。 そんな母の言葉への反発が、文学への情熱と同じくらい熱い、料理への愛を気づかせてくれた──。 2018年ノーベル文学賞に替わるニュー・アカデミー賞を受賞した世界的黒人女性作家の最後の自伝的回想録。
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新刊『明治大正昭和 化け込み婦人記者奮闘記』平山亜佐子 著
¥2,200
号外に関係のない婦人記者 日本の新聞黎明期。女だからと侮られ、回ってくるのは雑用ばかり。 婦人記者たちは己の体一つで、変装潜入ルポ〈化け込み記事〉へと向かっていった── 観察力が光る文才、鉄砲玉のような行動力、私生活でもまばゆいばかりに破天荒。 徒花(あだばな)とされ軽視されてきた彼女たちの仕事を時を超えて再評価し、 型破りな生きざますらも肯定する、唯一無二の近現代ノンフィクション!
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新刊『動物×ジェンダー マルチスピーシーズ物語の森へ』村井まや子 熊谷謙介 編著
¥3,300
SOLD OUT
人間と動物を対立させる価値観を退け、ポストヒューマンやクィアの思想を取り込んで、動物表象に潜むジェンダー力学を浮き彫りにする。動物や人間、精霊やウイルスをめぐる物語に分け入り、マルチスピーシーズとジェンダーの視野で作品の可能性を浮上させる。 民話やおとぎ話の動物と人間の関係、寓話やファンタジーに登場する精霊、狩猟と男性性、冒険物語を脱構築する動物――それらを文学や芸術はどのように描いてきたのか。大江健三郎、多和田葉子、松浦理英子たちの現代の「動物作品」は何を表象しているのか。 動物が人間よりも劣位に置かれる文化・構造を踏まえ、人間中心の視点を脱し、複数種(マルチスピーシーズ)の絡まり合いから作品や表象を読み解く。これに加えて、女性が男性から差別される非対称性に基づき、ジェンダーの視点も重ね合わせて多角的に分析する。 人間と動物を対立させる価値観を退け、エコクリティシズムやポストヒューマンの思想の潮流に棹さしながら、動物表象に潜む力学を浮き彫りにする。動物や人間、精霊をめぐる物語の森に分け入り、マルチスピーシーズやジェンダーなどの複合的な視野で作品の可能性を浮上させる新たなリーディングの地平。
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新刊『耳をすませば』チョ・ナムジュ 著 小山内園子 訳
¥1,870
『82年生まれ、キム・ジヨン』著者のデビュー作にして傑作! 抜群の聴力を持つ少年がテレビのサバイバル番組に出場し……。著者インタビューも必読!
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新刊『29歳、今日から私が家長です。』イ・スラ 著 清水知佐子 訳
¥1,870
この小説は家父長でも家母長でもない娘が家長(家女長)で主人公。 厳しい祖父が統治する家で生まれた女の子・スラがすくすく育って家庭を統治する。 作文を家業に家を興した娘が、一家の経済権と主権を握る。 家父長の家では決してありえないような美しくて痛快な革命が続くかと思ったら、家父長が犯したミスを家女長も踏襲したりする。家女長が家の勢力を握ってから、家族メンバー1に転落した元家父長は、自ら権威を手放すことで可愛くて面白い中年男性として存在感を表す。この父は片腕にはモップを、もう片腕には掃除機を入れ墨にして、家のあちこちを熱心に掃除しながら家女長と妻を補佐する。だが、この小説は家父長制を廃止しようという扇動や家父長制への批判に満ちた話ではない。スラはどの家父長よりも合理的で立派な家長になりたいと思っているが、スラの母にも家女長の時代が家父長の時代より良いのだろうか。スラの家女長革命は果たして皆を幸せにすることができるだろうか。
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新刊『トランスジェンダーと性別変更 これまでとこれから』高井ゆと里 編
¥748
生殖不能要件は憲法違反――長く放置されてきた人権侵害を是正するため、「性同一性障害特例法」の改正が求められている。いま私たちに必要な基礎知識とは何なのか。特例法が制定された背景から、法・医学・国際人権の知見まで、高井ゆと里、野宮亜紀、立石結夏、谷口洋幸、中塚幹也らエキスパートが解説する。
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新刊『暴力とアディクション』信田さよ子 著
¥2,200
理論と臨床から考える「援助」論 臨床の現場にたち、第一線で活躍しつづけている著者。時代の移り変わりや社会のできごとを経ていくなかで、「家族」や「こころ」が静かにしかし確かに変化していくさまを見つづけてきた。依存症、ヤングケアラー、アダルト・チルドレン、DV、母と娘、そして精神医療の現在……。変わりゆくように見える「家族」や「こころ」に手を伸ばすとき、どのようなあたらしい生存戦略がありうるのか。医療とは異なる「援助」は可能なのか。第一人者による思索と実践の記録。
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新刊『真実と修復 暴力被害者にとっての謝罪・補償・再発防止策』ジュディス・L・ハーマン 著 阿部大樹 訳
¥3,740
SOLD OUT
〈社会のあり方から心的外傷が生じている以上、そこからの回復も、個人の問題プライベートではありえない。個々のコミュニティにある不正義によって外傷が生じているなら、傷を治すためには、より大きなコミュニティから対策を引きだして、不正義を修復しなくてはならない。 回復していく途上、難しい問いがさまざまに浮かび上がってくる。 皆の前でこのことを話せるか? 真実を、周りのひとは受け止めてくれるだろうか? この傷は治るだろうか? そのために何を差し出さなくてはならないのか? どうして加害者と同じコミュニティに所属しつづけないといけないのか? 和解は可能か? どうやって? コミュニティはどうすれば現在の、そして将来の被害を防げるのか? この問いに答えるため、私はもう一度、話を聞くことにした。生き延びたものたちの声である。皆のための、より良い正義を求めることのために本書はある〉 暴力被害者は何を求めているのか。加害者の謝罪やアカウンタビリティはどうあるべきか。補償や再発防止の具体策は、司法のあり方は。トラウマ問題のバイブル『心的外傷と回復』を継ぐ総決算の書。
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新刊『分断されないフェミニズム ほどほどに、誰かとつながり、生き延びる』荒木菜穂著
¥2,640
非婚/未婚/既婚、正規労働/非正規労働、性差別的な売春か/セックスワークか、女性の保護か/男女平等か――。フェミニズムは分断と連帯にどう向き合えばいいのか。 フェミニズムの議論を骨格に、現場の声にふれた経験に基づき、女性たちが簡単にはつながれない現実を見据えたうえで、シスターフッドとは何かを問いかける。 女性たちが差別に抗い、不満に共感しあいながらも、ともに声を上げられない現実を、ジェンダーに基づく権力構造による分断だけではなく、考え方や生き方、事情や立場が異なる個人の関係性などの視点から読み解く。 「分断」を乗り越えることを模索し、「ほどほどに、誰かとつながり、生き延びる」ための女性のこれからを提案して、長年のフェミニズムの場での活動と思索に基づいて女性のつながりのあり方の再考を求める評論。
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新刊『母にはなれないかもしれない 産まない女のシスターフッド』(若林理央著)
¥1,650
「子どもを産まない」その一言が言いづらい 「なんで産まないの?」「次は子どもだね」「産んだらかわいいって思えるよ」「産んで一人前」 友だち、親、同僚、パートナー、SNSの言葉に戸惑い、傷つく女性たち。 女性たちの「産まない・産めない・産みたくない」を丁寧に聞きとったインタビューと著者自身の「産まない」を紐解くエッセイから見えてくる、日本の女性たちのリアル。 店主Sには子がいます。出産したことは全く後悔していませんが、「なんで産まないの?」「産んだらかわいいって思えるよ」とも1㎜も思いません。それは人によるし、産む産まないは全くもって個人の自由だと信じています! (そして子は産んだが全く一人前でもない)
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新刊『韓国フェミめし 光州とヴィーガンを巡って』ハンガン・ヴィーガン
¥880
フェミニズムや福祉に関する書籍を中心とした書店、本と喫茶 サッフォーさんのZINEレーベルから『韓国フェミめし 光州とヴィーガンを巡って』が届きました! つくば在住の日韓クィアカップル「ハンガン・ヴィーガン」による、韓国料理をヴィーガンで楽しむレシピzineです。 レシピはもちろんですが、お二人のヴィーガニズムに対するエピソードや思い、そして韓国インディープレイリストなどのページもあり、店主©︎(セソニョン好き)うれしかったです!
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新刊『ウィッチンケア VOL.14』
¥1,980
発行人、多田洋一さんが「ぜひこの人に!」と寄稿依頼した、42人の書き下ろし作品が掲載。 多彩な分野で活躍する人の「いま書いてみたいこと」が詰まった文芸創作誌です。
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新本『占領下の女性たち 日本と満洲の性暴力・性売買・「親密な交際」』(平井和子著)
¥3,300
SOLD OUT
日本本土・満洲で同時進行的に形成された「性の防波堤」。そこには国家や共同体によって多くの日本人女性が駆り出された。ジェンダー、セクシュアリティの視座から占領下の多様な性暴力の実態と構造を明るみに出すとともに、戦後史のなかに黙殺されてきた被害女性たちの生きざまを貴重な資料と証言に基づいて浮かび上がらせる。
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新本『言葉を失ったあとで』(信田さよ子・上間陽子著)
¥1,980
SOLD OUT
「聞く」の実際。アディクション・DVの第一人者と、沖縄で社会調査を続ける教育学者。それぞれの来歴から被害/加害をめぐる理解の仕方まで、とことん具体的に語りあった対談集。 この本の目次 第1章 言葉を失ったあとで 二〇二〇年一一月二七日 第2章 カウンセリングという仕事、社会調査という仕事 二〇二一年二月六日 第3章 話を聞いて書く 二〇二〇年二月二三日 第4章 加害と被害の関係 二〇二一年三月一二日 第5章 言葉を禁じて残るもの 二〇二〇年三月二七日 第6章 ケアと言葉 二〇二一年五月一一日
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新刊『彼女たちの戦争 嵐の中のささやきよ!』小林エリカ著
¥1,870
リーゼ・マイトナー、エミリー・デイヴィソン、伊藤野枝、ヴァージニア・ウルフ……男性社会の中で本来望む生き方を抑圧された女性たちの戦いの記憶を描き出す。 この女(ひと)を見よ! 科学者、詩人、活動家、作家、スパイ、彫刻家etc. 「歴史」の中で、不当に不遇であった彼女たちの「仕事」がなければ、「いま」はありえなかった――。彼女たちの生き方、そして死に方を拾い上げ、未来へとつないでいく、やさしくたけだけしい戦いの記録。 ◎フルカラーの美麗なイラスト付! 【本書で取り上げる女性たち】 マルゴー・フランクとアンネ・フランク姉妹/伊藤野枝/シルヴィア・プラス/エミリー・デイヴィソンの葬列を組む女たち/ヴェルダ・マーヨ(長谷川テル)/ロザリンド・フランクリン/婉容/ブラック・イズ・ビューティフルを歌う女たち/マタ・ハリ/クララ・イマーヴァール/エミリー・ディキンスン/水曜日にその傍らに立ち続ける女たち/ヴァージニア・ウルフ/エウサピア・パラディーノ/マリア・スクウォドフスカ=キュリー/ラジウム・ガールズ/湯浅年子/ミレヴァ・マリッチ/貞奴/学校へ通う少女たち/アンナ・アフマートヴァ/カミーユ・クローデル/高井としを/ヒロシマ・ガールズ/メイ・サートン/リーゼ・マイトナー/アストリッド・リンドグレーン/風船爆弾をつくった少女たち
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新刊『敬愛の心』(キム・グミ著、すんみ 訳)
¥2,640
◎1999年に韓国・仁川(インチョン)で実際に起きた火災事件を題材にした著者初の長編小説、待望の邦訳刊行 ミシン会社で働くサンスと敬愛(キョンエ)。お荷物社員の二人がチームを組むことになった。すれ違い、空回りしながら距離を探り合う日々。やがて互いの過去が少しずつ関係を変えていく。そんな中、チームはベトナムへの派遣が決まり、それぞれの思いを胸に新しい地を訪れるが――。理不尽な火災事件で親しい人を失い、亡霊のように生きていた男女の転機と再生を描く。
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新刊『世界 2024年4月号』
¥1,045
【特集1】トランプふたたび 2016年大統領選によるトランプ大統領の誕生は熱狂と分断の時代の幕開けを告げた。国内のみならずアジア、中東、ヨーロッパなど、世界中を振り回したトランプのアメリカは幻滅と妥協、不信と極端化の渦を増大させながら、自壊していった。だが、そこでもたらされた「遺産」はバイデンのアメリカにも色濃く息づいている。 米中対立やふたつの戦争という危機のもと、2024年の今、ふたたび吹き荒れるトランプ旋風。その風はどこから吹いているのか。何をもたらそうとしているのか。アメリカ内外の軋みを直視し、私たちに突きつけられた問いと向き合う。 【特集2】人権を取り戻す ジャニーズ性加害問題などを国際社会から批判され、「あったのに、なかったこと」にされてきた問題の深刻さを日本社会は受け止めることとなった。認識のギャップはどこから生まれたのだろう。 女性・性的少数者・外国人労働者への差別、原発事故対応……日本は様々な人権侵害のリスクを国連などから指摘されている。だが政策に十分生かされず、司法も人権救済に遠い。「息苦しさ」を強いる構造が、いま問われている。 ビジネスも様々な社会活動も、もはや人権への配慮なくしては成り立たない。そして、国際的な人権救済システムは大きく進展し、人びとの実践は国内にもある。人権はどこか遠くの話ではない。
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新本『女子鉄道員と日本近代』若林 宣著
¥2,640
女性踏切番、出札係やバス・市電の車掌の勤務状況、男性職員との差別的な労働条件を明らかにし、厳しい労働実態にもかかわらず花形職業としてもてはやした社会状況を活写。 「太平洋戦争下に、男性の代替として鉄道は女性を大量に動員した」ことばかりが論じられてきた女子鉄道員は、実は1900年以前から働いていた。 明治初期の女性踏切番を皮切りに、出札係やバス・市電の車掌の勤務実態、男性職員との差別的な労働条件を明らかにし、厳しい労働実態にもかかわらず女性車掌を花形職業としてもてはやした当時の社会状況を活写する。 さらに、太平洋戦争に突入してからの国鉄の女性職員と乗務員をめぐる定説を新聞資料などを丹念に調査して引っくり返し、新たな一面を照らす。加えて、戦争末期には小・中学生まで鉄道員として動員していた事実も明らかにする。 男性中心の日本鉄道史の陰に追いやられ、物珍しい存在としてだけ扱われてきた女性鉄道員とそれにまつわる出来事を史資料を発掘して紹介し、通説に大きな風穴を開ける。 店主Sの父方の祖母(大正生まれ)は、親に決められた婚約者が嫌で故郷の鹿児島を逃げ出し、関西でバスの車掌をやっていました。ああ、こういう風に働いて(働らかされて)いたのか……と感慨深かったです。
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新刊『幼年の庭』呉貞姫著 清水知佐子訳
¥2,420
日常にひそむ不安や欲望 家族の中で抱く孤立感 生きあぐね、もがく女たち 現代女性文学の原点となった 呉貞姫の作品集 朝鮮戦争を体験した著者の幼少期が反映された「幼年の庭」「中国人街」のほか、「三十代の内面の記録」という六編を収録。繊細で詩的な文章は、父の不在、家族関係のゆがみ、子どもや夫への愛情のゆらぎに波立つ心を描き出す。それは時代の中で懸命に生きる人の肖像でもある。 『幼年の庭』に描かれた韓国の女性たちの姿は、 同時代の日本の女性たちとも重なる部分があるだろう。 現代の韓国文学に日本の読者が共感するように、 幅広い層の心に響く小説集として 多くの人々に読まれることを期待している。 —-清水知佐子(本書「訳者解説」より)