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新刊『乳がん女性のエスノグラフィー ピア・サポート/友情/社会への継承』菅森朝子 著

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乳がんは、日本の女性の9人に1人が罹患すると言われ、現代を生きる女性にとってごく身近な慢性病である。罹患者数は増加する一方で、医療の発達によって「治るがん」にもなっている。乳がんを経験した女性たちは、診断から治療、その後の日常生活までをどのように生きているのか。

10年に及ぶ乳がん経験者への継続的なインタビュー調査と、患者会へのフィールドワークから、経験者=「がん友」同士の支え合い、乳房の喪失と再建への思い、がん再発のリスクへの不安、仲間との別れ、家族との関係性などを丁寧に描き出す。

女性同士の友情や自らの経験の社会への継承など、特有の関係性や思いを明らかにすると同時に、女性たちが抱える孤独や痛み、性別役割やキャリア形成の葛藤など、日本のジェンダー構造が抱える問題性も逆照射する。

目次
まえがき

序 章 乳がん同病者関係の世界へ
 1 乳がん同病者関係への問題関心
 2 調査の方法と対象
 3 「病いの語り」研究の視座
 4 乳がん同病者の世界のエスノグラフィー―Kグループの実践から
 5 乳がん同病者の世界から受け取った問い

第1章 乳房再建を機に開かれる乳がん同病者関係
 1 選択をめぐる困難
 2 乳房再建術について
 3 乳房再建を選択した人の語り
 4 乳房再建を選択しなかった人の語り
 5 同病者関係に開かれる契機

第2章 乳がん再発をめぐる同病者の「共同性」
 1 乳がん同病者関係がもたらす「葛藤」
 2 患者会の「希望の星」を生きる
 3 「がん友」との関係を変化させながら継続する
 4 「差異ある共同性」の方途

第3章 仲間との別れを超えて見いだされる「希望」
 1 乳がん同病者関係における死
 2 Eさんの訃報に接して
 3 余命を告げられたあとを生きる―Eさんが残したインタビュー記事から
 4 同病の仲間の死にゆく過程、死後に関与すること
 5 「死と向き合う語り」の可能性

第4章 家族の外側に発見する女性同士の親密な関係
 1 家族の世話をする女性が病気になる
 2 家族のなかでおこなわれる「ワーク」
 3 乳がんの経験と家族との関係
 4 家族関係の外で同病者と出会う
 5 二重に「閉ざされた」状況から二重に「開かれていく」

第5章 乳がんの経験を継承する―ピアへの継承から「社会」への継承へ
 1 「社会」への継承という問い
 2 経験を「社会」に開く実践―Pグループの取り組みから
 3 継承を可能にする条件

終 章 乳がん同病者関係をなすもの
 1 乳がん同病者関係の多面性
 2 「大人の女性」が抱える孤独と痛み
 3 乳がんの経験をもたない者による継承の可能性
 4 「病いの語り」研究における「女性」という視点

あとがき

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