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新本『物語とトラウマ-クィア・フェミニズム批評の可能性-』岩川ありさ 著
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「文学は、語れないことを語ることを可能にすると同時に、人を物語という枠組みから解放する。他人の物語を読み解いていく時の岩川さん独特の真剣さと優しさと丁寧さは、「おまえは生きていてはいけない」というメッセージを受け取らされてしまった人たちのことを一時も忘れることがないからだろう」
――多和田葉子
トラウマ的な出来事を経験した人びとにとって、文学や文化は生きのびるための表現となりうるのか——
多和田葉子、李琴峰、古谷田奈月、森井良、林京子、大江健三郎、岩城けい、小野正嗣といった現代作家の作品を丁寧に読み解き、物語を受けとるという営みとは何か、小説と読者が出会うとはどういうことか、それにクィア・フェミニズム批評はどうかかわるのか、自身の経験とときに重ね合わせながら文学や文化の力を見出していく。気鋭の研究者による、トラウマという語ることがむずかしい経験を語るために物語があるのだということを、そして何より新たな対話の可能性を信じるすべての人におくる、画期的な文学論。
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