新本『職場で使えるジェンダー・ハラスメント対策ブック』小林敦子 著
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お茶くみや受付係、秘書等の補佐的な仕事をさせられる、リーダーとしての経験を積ませてもらえない……。
そんな「性役割に関するハラスメント」、すなわちジェンダー・ハラスメントを防止する研修をおこなってきた著者が、組織におけるジェンダー・ハラスメントの実態を分析し、対策方法を説く。
昨今数多のハラスメント対策本が刊行されているものの、ジェンダー・ハラスメント対策に特化した実用書は、日本ではおそらくこれが最初の書籍となる。
著者はジェンダー・ハラスメントの研究者で、元市役所の職員だった小林敦子氏。
彼女は職員時代から大学院に学び、博士号を取得し、組織におけるジェンダー・ハラスメントの防止研修プログラムを心理学の視点から考案、実践している。
本書は理論編、実践編という二つのパートに分かれているため、ジェンダー・ハラスメントの知識をつけたい方にとっても、実践的な研修内容を知りたい方にとっても、有益な一冊といえるであろう。
ハラスメントの具体例や分析結果はもちろんのこと、実践編では研修後のアンケート、研修に使う落語の台本など、研修の意図と内容を丁寧に紹介。
読者が自身の偏見に気づき、対策の必要性を自分ごととして考えていくための啓発書ともいえる。
特筆すべき読みどころの一点目は、潜在的ステレオタイプを弱める試みとして著者が編み出した「CCT(認知的複雑性研修)」。
職場の同僚を多面的に捉える能力(認知的複雑性)を醸成するトレーニングを、ワークシートや効果とともに紹介している。
もう一つの特長は、アンコンシャス・バイアスの解説書としても大きな役割を果たしている点である。
著者は、近年内閣府男女共同参画局から発信されているアンコンシャス・バイアスの問題に言及している。
アンコンシャス・バイアスは本来、「何が偏見であるかは解っていても、自分に偏見があることにアンコンシャス(無意識)、つまり気付いていない」という意味である。
これを、「何が偏見であるかが解らないため、自分の考えが偏見にあたることに気付いていない」という意味に誤用しないよう、誤用が広まるとどのような問題に発展するのかも含めて、詳しく解説している。
【主要目次】
《理論編》
Ⅰ ジェンダー・ハラスメントとは
Ⅱ ジェンダー・ハラスメントに関する実証研究
≪実践編≫
Ⅲ ジェンダー・ハラスメント防止研修の実施
Ⅳ 戦略的ハラスメント対策
付録1 ジェンダー・ハラスメント測定尺度
付録2 創作落語「じぇんだー・はらすめんと」
付録3 紙筆版IAT「男女×上司部下役割」
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