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『花衣ぬぐやまつわる……わが愛の杉田久女』田辺聖子著
¥1,000
SOLD OUT
師、友、そして夫からさえもうとまれた…。うぬぼれ強く、しっと深い女として誤解され続けてきた天才女流俳人・杉田久女。その栄光と孤独な生涯を描く。女流文学賞受賞作。 店主S、小学校時代にⒸと「お文のやりとり」をしていたくらいですから、短歌や俳句は好きな方です(詳しくはないのですが……)。杉田久女のこともなんとなく知っていて、でもなんとなくの知識なので「句は素敵だけど悪妻で怖い人だったんでしょ」と思っていました。が、この本を読んでその印象は一変。 真面目一辺倒な女性が、そりの合わない夫と暮らしながら、真面目さゆえに一生懸命俳句の道に精進し、それなのに真面目さが裏に出て、しかも「女のかわいげ・色気」のなさゆえにその道の第一人者である師匠(もちろん年配の男性)に嫌われ破門。 結果、久女は精神を病み若くして亡くなるのですが、後世の人々によって人物像を誤って(ねじまげられて)伝えられてしまいます。その人物像を、田辺聖子さんが丹念な取材と資料によって解きほぐしており、これで久女も浮かばれたのではないかと思いました。 真面目で女のかわいげ・色気がなく、とくに年配男性(いや、同輩や若年もだし時には女性からもですが)から敬遠されがちという共通点を持つ店主S。涙なしには読めなかった1冊です。 数ページ折癖あり 単行本版
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『リマーク 1997-2007』 池田晶子著 トランスビュー
¥700
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思索するとは謎を吸収すること。「14歳からの哲学」などで知られる著者が2007年に亡くなる直前まで綴った思索日記。 専門用語で哲学を論じるのではなく、哲学するとは存在の謎について考えながら生きていくことなのだと日常の言葉で示してくれた池田晶子さんは店主©最愛の哲学者です。中でもこの「リマーク」は繰り返し読みました。読むというより浴びると言ったほうが的確かもしれない思考の渦。「考える」ことを快楽として貪っていく追体験にぜひ酔いしれてください。 全229ページ 2007年刊 初版 表紙、背表紙にヤケあり
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『BTS、ユング、こころの地図「MAP OF THE SOUL:7」の心理学』マザー・スタイン、スティーヴン・ビュザー、レオナルド・クルーズ著 大塚紳一郎訳 創元社
¥1,400
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BTS10周年おめでとう。아포방포♡ 店主©︎はアミ(ARMY=BTSファンダムの総称)であり、彼らが表現する音楽を哲学的、心理学的な側面からも多大なる関心をもって追っている一市民です。 この本はユング派分析家の著者が、彼らのアルバムを実践家の立場から読み解いていて、なおかつ入門書としても受け入れられる。数あるBTS本の中でも内容がずば抜けておすすめできる一冊です。 彼らに関心がある人もない人も、ピンとくればぜひどうぞ!
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『村岡花子と赤毛のアンの世界』村岡 恵理編 河出書房新社
¥500
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村岡花子生誕120年記念刊行。『赤毛のアン』の翻訳者として、なじみの深い花子の生涯をたどる一冊。特別対談、梨木香歩×熊井明子。世代を超えて愛されるアンの魅力に迫る。 店主S、はじめて買ってもらった「大人の本」が『赤毛のアン』でした。出会ったその日から虜になり、全シリーズを集め、高校の時は友人を「ダイアナ」と呼び、自分のことを「アン」と呼ばせて文通をしていました(黒歴史が過ぎるぞ……)。 この本は、『赤毛のアン』を日本で世に出した村岡花子さんについてまとめたもの。村岡花子さん自身による文章も多数収められています(ブックレビューで紹介されている『ケティ物語』、大好きです!)。 河出書房新社 2014年発行 第9刷 裏カバーに軽くよれあり(写真2枚目)
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『セックス神話解体新書』小倉千加子著 ちくま文庫
¥300
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こんなに芸のあるフェミニストはいなかった―と、上野千鶴子氏を感嘆させた著者が、巷に流布する数々の性の神話を小気味いいほど見事に次々と打ち砕く。これまでになく根源的なフェミニズム登場、として発売と同時に話題となった処女作、待望の文庫化。著者曰く―「毒は吐ききらねばなりません」。 金曜日の妻たちはどこへ行く? 夫婦間に強姦は成り立つか? など興味深いタイトルがたくさん並んでいてどれもほー! と思わせられるのですが、店主Sが食いつくように読んだのが「性欲は本能か?」。物心ついたころから、食欲・性欲・睡眠欲は誰でも持っているし誰にも止められない、だから女の子は常に気を付けないとあかん、と周囲の大人に言って聞かされましたが、この本を読んで「違うやん!」と思いました。確かに、食べなかったら死ぬし、眠らなくても死にますが、セックスしなくても死にませんよね(少なくとも店主Sは死んでません)。 「性欲が本能じゃない? うっそー?」と思ったみなさんにこそ読んでほしい。目からうろこが1000枚くらい落ちること間違いなしです。 266ページ ちくま文庫 2004年発行 第8刷
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『赤ずきんとオオカミのトラウマ・ケア』 白川美也子著 アスク・ヒューマン・ケア
¥1,200
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虐待・DVをはじめ対人暴力被害によるトラウマ治療に一貫して関わってきた著者。トラウマはなぜ引き起こされ、被害と加害はなぜ繰り返されるのか、赤ずきんとオオカミという2人の主人公の回復と成長を元に、物語仕立てで非常にわかりやすく説明した本です。 実際の理論や技法の説明もスッと頭に入ってきて、当事者にも支援者にも実用的な内容になっています。治癒の過程を読んでいるだけで、慰められているような気持ちになる人もいるかもしれません。 「あとがき」にあるように、赤ずきんの物語は女性の歴史と深く関係があります。オオカミに食べられる赤ずきんは性被害のメタファーと捉えられることもあります。 被害を受けた人も、幼い頃の虐待などにより転じて加害者になってしまった人も、トラウマの再演というループに嵌らずにいかにして自分を愛する力を取り戻すか。店主©︎は心理職ではないけど公認心理師という謎の一面を持つのですが、折々に読み返す大切な一冊です。 全157ページ 状態良好
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『生きるためのフェミニズム パンとバラと反資本主義』堅田香緒里著
¥1,000
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女性の活躍、ケア労働、路上生活、再開発、生活保護...あらゆる格差、貧困、分断の問題を最新のフェミニズムの視点から読み解き、国内外の事例から日常的で具体的な抵抗の方法を探る。気鋭の社会学者、初の単著。 1日実働7時間(でも多いくらいですが)仕事をすれば、食べるものに困らず、読みたい本を買えて、夏休みとお正月休みがとれ、たまには息抜きで旅行もできて、という社会、パンもバラもがまんしなくていい世界にはならないものなのか……と常々思う店主S。 が、そんな思いとは裏腹に、もっとがんばれ、お金を稼げ、そのためにブランドものを身に付けろとメッセージを方々から受けます。その度に、もう死ぬほどがんばってるよ……お金を稼ぐために睡眠時間削りたくないよ……ブランドものなんて興味ないよ……リーン・インはしんどいやん……でも、やっぱりがんばりが足りないのかな……と意気消沈していました。そんな時、この本と『99%のためのフェミニズム宣言』を読んで、そう、これ! と思ったのです。 「女だからといって、派遣労働者だからといって、仕事や収入を失ったからといって、野宿者だからといって、トランスジェンダーだからといって、殺されてたまるか。誰かの「安全」のために、別の誰かの命や尊厳が犠牲にされるような社会はもうごめんだ」(「はじめに」より) 特別扱いなんてしたくもされたくない。ただひとりの人間として、生き方や志向・思考を尊重してほしい。それは誰もが同じはず、と信じているのですが、どうなのでしょうか。もしかして、そうじゃない人も、いる……? 状態良好 タパ・ブックス 2021年7月発行 初版
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『わたしを生きる知恵 − 80歳のフェミニストカウンセラーからあなたへ』河野貴代美・対談岡野八代 三一書房
¥1,000
SOLD OUT
日本のフェミニストカウンセラーの草分け、河野貴代美さんからのメッセージ。 「フェミニストカウンセラーとして長く生きてきた私から、今を生きるあなたへ贈るメッセージです。ゆっくりでいいから、あなた自身を生きなさい」 河野貴代美さんを知ったのは、森瑤子さんの著書を通じてでした。森瑤子さんのセラピストが、河野貴代美さんだったのです。「フェミニズムとは、自分を肯定し自分らしく生きるための生活の知恵・指針のようなものだと私は考えます。フェミニストカウンセリングとは、このようなフェミニズムの視点で女性の心の問題を解きほぐし、気持ちを受け止めて問題を共有し、女性が力を取り戻す過程を支えて、ともに歩む共同作業」だと河野さん。 私自身、足かけ3年カウンセリングに通っていたことがあります。私が受けたのはフェミカンではありませんでしたが、カウンセラーは女性でした。女性としての自分を否定されない、安全だと分かっている場所で、女性としてどう生きづらさを感じているかを吐露できたのは本当にユリイカ! な経験でしたし、そこで気づいたことが生きづらさの軽減にずいぶん役立ちました。お金と時間ができたら、フェミカンもぜひ受けてみたいです。 状態良好 ソフトカバー 全245ページ
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『かけがえのない、大したことのない私』田中美津著
¥1,000
SOLD OUT
日本のフェミニスト、と言えば上野千鶴子さんや田嶋陽子さんを思い浮かべる方が多いと思いますが、70年代初頭のウーマン・リブ運動を牽引した田中美津さん抜きでフェミニズムは語れません。 この本では田中美津さんの講演や対談を多数収録。90年代、ウーマン・リブとフェミニズムとの間に断裂があったらしいことも読み取れます。たとえば「フェミニズムだと本いっぱい読まないとだめですよね」という編集者に向かって「よく読むね。女性解放って『最初にお勉強ありき』じゃないと思うのよ」と田中さんが言っていて、店主S、ひそかにドキーン……。書物から知識を得るばかりではなく、田中さんのように自分の言葉で自分の体験や思いを語ることも大切なのかも、と思わされました。だって、悔しい思い、いっぱいしていますからね……。 帯に破れ、カバーに汚れあり 全358ページ インパクト出版会
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『足をどかしてくれませんか。——メディアは女たちの声を届けているか』林 香里 編著 亜紀書房
¥1,000
SOLD OUT
男性中心に作られるジャーナリズムの「ふつう」は社会の実像とズレている。メディアが世界を映す鏡なら、女性の「ふつう」も、マイノリティの「ふつう」も映してほしい。女たちが考える〈みんな〉のためのジャーナリズム。(亜紀書房の本紹介より) 「政策をつくるのは政府、風土をつくるのはメディア」という言葉が突き刺さる。メディアの端っこのはしくれにいる店主S、心せねばと思っています。そして田中東子さんのお話には「分かる! 私もだった!」と共感しかありませんでした。 林 香里 編著 亜紀書房 全320ページ
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『エトセトラ』創刊号 田房永子責任編集 エトセトラブックス
¥500
SOLD OUT
毎号、新しい編集長がいちばん伝えたいテーマを特集するフェミマガジン『エトセトラ』の創刊号。母・親との問題を世に問い続ける漫画家、田房永子さんが編集長となり、瀧波ユカリ、北原みのり、小川たまかなど、作家や漫画家、書店店長、成人誌の作り手からの寄稿のほか、一般投稿による賛否激論フォーラム、各社コンビニへのアンケートを収録。 中学の時、男子が学校にエロ本を持ち込んで、これ見よがしに机の上に置いてぎゃーぎゃー言っているのが本当に嫌で、家でこっそり見ろや! と店主Sは思っていました。創刊にあたって下北沢の書店「B&B」で行われたトークイベントレポートも面白いのでぜひ。 https://etcbooks.co.jp/news_magazine/%E3%82%A8%E3%83%88%E3%82%BB%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9-4/ 表紙に折れあり 田房永子責任編集 エトセトラブックス 全96ページ
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『日本のフェミニズム 性の戦い編』 北原みのり責任編集 河出書房新社
¥700
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廃娼運動や売春防止法、性の自己決定をめぐる80年代の戦い、刑法犯罪規定など、フェミニズムの歴史を原点からわかりやすく解説したガイドブック。 さまざまな書き手が、エッセイや対談でフェミニズムについて解説しているので読みやすく、頭にすっと入ってきます。そしてもちろん、人間ですからフェミニストも一枚岩ではない。いろいろ葛藤もあったり反発しあったり、ということもあるのです。 「普通に選挙に行きたい、運転したい、銀行でローンを組みたい、役所で意地悪されたくない、タクシーで説教されたら怒りたい、好みや主観を述べたい」と笙野頼子さん。その通りです! 北原みのり責任編集 河出書房新社 全136ページ
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『エトセトラ VOL.2』 山内 マリコ ・柚木 麻子責任編集 エトセトラブックス
¥700
「日本でいちばん有名なフェミニスト」田嶋陽子の特集号。 子どもの頃、TVタックルに田嶋陽子さんが出ると父が「うるさいおばはんや」と言っていた。小学生だった私は「うるさいおばはんはあかんのか…」と思ったのたが、そんなことはない、と今は断言できる。テレビにはうるさいおっさんもいっぱい出ているではないか。なぜおばはんだけが、自分の意見を表明すると批判されるのか? そして田嶋陽子さんの言っていること、非常にまっとうです。
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『いちばんここに似合う人』 ミランダ・ジュライ著 岸本佐知子訳 新潮社
¥800
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2005年にカンヌでカメラ・ドールを受賞した著者が2007年に発表した初の短編集。 普段なかったことにしている感情をまざまざと描いているので目を背けたくなるのに、読みながら妙に心が落ち着いていく。 自分を締めつける固定概念を解いてくれる物語たちです。 作品や生活で体現していく、ミランダ・ジュライのフェミニストとしてのあり方も好きです。教えてくれた友人でありKaninのロゴも作ってくれたMitsukiちゃんに感謝。(店主©︎) 新潮クレスト・ブックス 全282ページ
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『幕間』 ヴァージニア・ウルフ著 片山亜紀訳 平凡社
¥800
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ヨーロッパ各地で独裁者が台頭しつつあった頃、イギリス内陸の古い屋敷では野外劇が上演されようとしていた。一昼夜の出来事に、田園の日常と、時代の気配を見事に描き出したヴァージニア・ウルフの遺作。 再読すると、迫り来る戦争の気配を捉えた筆致が、今の時代の気分とシンクロする部分があり少し震えました。 と同時に、ツバメが飛び交い、とおり雨が降って止む初夏のイギリスの田舎の描写がすばらしく、自然の中に持って行って外読書に耽るのも個人的にはおすすめです。©︎ 平凡社ライブラリー 全300ページ
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『夏物語』 川上未映子著 文芸春秋
¥600
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精子提供による出産をテーマに「産むこと」「生まれること」の意味を問いかける長編。自由とは何か、女性の身体とは何かを考えさせられつつも、単純に「はぁ、面白かった…」とため息が出る読後感です。 全545ページ
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『夜と霧 新版』 Y・E・フランクル著 池田香代子訳 みすず書房
¥800
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原題「心理学者、強制収容所を体験する」。後半の「苦しみ尽くすことの意味」という問いへ畳み掛ける答えが圧巻です。 極限状態に置かれた時に、自分が「まともな人間」として行動できるかどうか、まったく自信がない。たぶんいつか試される時が来るので、この本を読んでいたことが糧となりますようにと個人的には思っています。 全169ページ
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『持続可能な魂の利用』 松田青子著 中央公論新社
¥500
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誤解を恐れずに言うと、私は「おじさん」が怖いです。ここに年齢や性別は関係ありません。「おじさん」に謎の期待(?)を勝手にいだかれ、私がその期待にそぐわないとわかると突然キレられ、何もしてないのにめちゃくちゃ怒られる、ということが人生で何度も起こりました。それは私が「おばさん」と言われる年齢になっても同じです。 きっと「おじさん」は私が期待通りに愛想笑いしないことや、思い通りに動かないことが気に入らないんだと思います。でも私はそれがうまくできなくて、「おじさん」を怖いと思うようになりました。 自分の話が長くなりましたが、私はこの物語を読んで単純に救われる思いがしました。「おじさん」が支配する国の絶望と、搾取される人々がどうやって自分の魂を守っていくかが詳細に描かれています。そこには「共感」を越えた「連帯すること」への希望と意思があるのです。(店主©︎) 全240ページ
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『私ひとりの部屋』 ヴァージニア・ウルフ著 村松加代子著 松香堂
¥600
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「もし女性が小説を書くとすれば、お金と自分専用の部屋をもたなければならない」 この考えをウルフが率直に詳しく語った代表的エッセイ。 ヤケ・カバーヨレあり。 1984年刊、初版。 全275ページ
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『シャドウ・ワーク 生活のあり方を問う』 I・イリイチ著 玉野井芳郎/栗原彬訳 岩波書店
¥1,800
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産業文明により、家事などの人間の本来的な生活や喜びであるはずの活動が、賃金労働の影に追いやられてしまった社会を批判したイリイチの代表的な書のひとつ。 店主©︎が「シャドウ・ワーク」という言葉を初めて知ったのは、実は小沢健二のアルバム「Ecology of Everyday Life 毎日の環境学」の収録曲「SHADOW WORK 陰にある仕事」から。それからだいぶ経ってこの本を読み、システムを維持するための誰かの賃労働に不可欠な、誰かの支払われないケア労働の存在を明らかにしたイリイチの思想に触れることができました。 誰かが「影」になることなく、自分の手で自由に生活を営んでいける社会を求めることは壮大な夢なんでしょうか。理想主義と言われても、考えることはやめないようにしようと思わせてくれる本です。 同時代ライブラリー版 カバーに若干の汚れあり。 1990年刊。 全327ページ
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『涙のしずくに洗われて咲きいづるもの』 若松英輔著 河出書房新社
¥800
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「死者の姿は見えない。だが見えないことと、存在しないことは違う」 東日本大震災以後からの二年半にわたって書かれた文章が収められた本。 「生きている死者」と共に存在していくことについて抒情的かつ論理的につづられています。 全205ページ 初版
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『レボリューショナリー・ロード』 リチャード・イエーツ著 村松潔訳 ヴィレッジブックス
¥300
「夫が外で働き、妻が家を守る」のがあるべき姿とされていた1950年代のアメリカを舞台に、夫婦の危うさとその崩壊を徹底したリアリズムで描いた名作。 「家族の終わりに」という邦題で和訳されていましたが、2008年に映画が原題で公開されたことで新たに文庫化したようです。店主©︎はこの映画を当時の夫と一緒に観、そのあまりに救いようのない夫婦の物語に衝撃を受けました。カップル非推奨の作品でした…。が、その後じっくりと原作を読んだことで、夫婦の役割分担からくる不平等感、自己実現との両立の難しさ、リプロダクティブ・ヘルス/ライツについて考えるきっかけとなった気がします。 このような小説が当時男性の手で書かれたことが驚きです。 カバーに若干の破れあり。 全469ページ
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『愛するということ』 エーリッヒ・フロム著 鈴木晶訳 紀伊国屋書店
¥800
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原題「The Art of Loving」。Art=芸術というよりは、技術、能力といった感じの硬派な理論書です。 60年前の大ベストセラーに、今の時代に合った改訳を施した新装版。 全209ページ
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『ヒョンナムオッパへ 韓国フェミニズム小説集』 チョ・ナムジュほか著 斎藤真理子訳 白水社
¥500
SOLD OUT
韓国で定評のある7名の若手女性作家が「フェミニズム」をテーマに書き下ろした短編集。 me too運動の火付け役ともなったベストセラー「82年生まれ、キム・ジヨン」の著者による表題作のほか、家族を描いたものから、サスペンス、ファンタジー、さらにはSFとバラエティに富んだフェミニズム小説が読める。今の韓国文学の面白さと作家たちが模索する「フェミニズムとは?」が詰め込まれた一冊。 どの作品も好きですが、キム・ソンジュン「火星の子」は、宇宙を舞台にした妊娠中のクローン人間と幽霊犬とロボットという異種間の奇妙なシスターフッド物語で、しんと心にしみ入ります。©︎ 全256ページ